近年、発達障がいといわれる子どもたちが増加しています。その数は、子どもの出生率の3~6%にのぼるといわれています。 特に幼少期には、親が育てにくさを感じながらも、適切なアドバイスや療育を受ける機会は少なく、 日々の子育てに行き詰まりを感じている現状です。
また、核家族化が進み、地域での支え合いも少なくなってきた今、 子育てについて気軽に相談できる相手が見つからない等、母親への負担が集中しているのが実情です。 本来なら幼少期は親子の信頼関係の基礎を築き、 少しずつ親以外の大人や同年齢の子どもに目が向いていく時期ですが、 このような親子は周囲になじむことが難しく孤立してしまいがちです。
このような現状の中で、発達の気になる子どもとその家族が、 いきいきと自分らしく生きていける社会、また、すべての子どもとその家族が、 お互いにのびのびと育ち合える地域社会作りに寄与することを目的としています。
そのためにこの法人は、
このたび、永続的・計画的な活動ができる組織作りを目指し、より多くの市民に支持していただけるような事業展開を実施するため、 法人格の取得を申請するものです。
我々は、平成12年「周りの目を気にせず思い切り子どもを遊ばせられる場所がほしい」 という学齢期の障がいを持つ子どもの家族の思いをうけて、「岡崎市おもちゃ図書館きらら」を開館しました。
そこには、障がいをもつ子どもや兄弟・家族がやってきて、多くのボランティアと思い切りのびのびと遊び、 家族は互いに情報交換したり、子どもの姿を客観的に見つめなおすよい機会となっています。 また余暇活動支援として、サマースクール等を開催してきました。
その活動の中で、就園前の一番子育てに悩む時期にこそ、 子どもの発達にあった遊びやアドバイスを提供してくれる場がほしかったという家族の声が多くありました。 また、地域の子育て支援センター等で、集団になじめずかかわりにくさをもっている子どもの姿を見かけることもふえてきました。
そこで、平成17年から「発達が気になる就園前の子どもの遊びと相談の場」として、 「おもちゃ図書館ぷち」を開催しています。
平成20年には、各種専門の講師を招き、地域で生活する子どもたちを支援している方々と共に学ぶ研修会を実施しました。
これらの活動を我々の趣旨に賛同していただける各種専門家や広く市民のご意見を反映させ、 より発展させていくためにこのたび法人の設立を申請します。
平成21年2月15日
特定非営利活動法人 子どもの発達を支援する会きらら
設立代表者 塩沢 美穂子
子どもの発達は、とても複雑な道筋です。
音楽に合わせて全身を動かすことも、小さなゴミをカーペットからつまみあげることも、お互いに関連し合っています。さらには大好きな番組が始まった時に、思わずお母さんを見上げることは、やがて指さしで要求を伝えることにつながり、言葉によるコミュニケーションの準備となります。
発達につまずきを持つ乳幼児を育てるご両親は、「歩く」「しゃべる」といった目に見える大きな変化を待ち焦がれることと思います。しかし、そのような大きな変化は発達の様々な領域での、小さくて段階的な変化が積み上げられた結果としてあらわれてくるものなのです。
NPO法人きららでは、ひとりひとりの子どもの生活の中から、次にできるようになってほしい力をご家族と一緒に見つけていきます。そして、その力の獲得に必要な「小さな変化」をできるだけ見逃さず、子どもたちを次のステップにつなげていけるように、遊びをはじめとした様々な活動を組み立てていきます。
発達支援という営みは、何も「特別な力」を育てようとしているのではありません。標準的な発達をする子どもなら、ごく当たり前の生活の中で獲得していく力を、少し特別な方法で効率的に身につけさせようとする営みです。その「少し特別な方法」をささえているのは、発達に関する知識とていねいな観察、そして創意と根気です。
もう一度。子どもの発達は、とても複雑な道筋です。その複雑な道筋をたどっていく楽しさを、きららのスタッフとともに体験していただければと思っています。